今回は、自動車保険の「相手への補償」について紹介します。
相手への補償は、自動車保険の最も基本的な補償であり、かつ最も重要な補償なので、しっかりと読んで理解することをおすすめします。
相手への補償は、「対人賠償保険」「対物賠償保険」「対物超過修理費用特約」があります。
それぞれの補償内容、保険金が支払われる例を紹介します。
もくじ
対人賠償保険の補償内容、事故の例
対人賠償保険とは、交通事故により相手が死亡、ケガをさせてしまった場合に支払われる保険です。
具体的には、ケガの治療費、慰謝料、休業損害、後遺症が残った場合の介護費用、死亡した時や働けなくなった場合の逸失利益が含まれます。
対人賠償保険では、これらの損害額に自分の過失割合を掛けた金額が相手に支払われます。(過失割合についてはこちらで詳しく説明しています)
具体的な例を挙げて説明しましょう。
例)優先道路を走行している自分の車と、優先道路ではない道路を走行している相手の車が衝突した。過失割合は自分対相手=10対90だった。
相手のケガの治療費30万円、慰謝料15万円、休業損害が25万円発生した。
こういった場合は、対人賠償保険から、(30+15+25)×0.1=7万円が相手に支払われます。
残りの63万円は、相手の自腹か、相手の保険から支払われることになります。
対物賠償保険の補償内容、事故の例
対物賠償保険とは、交通事故により相手のモノを壊してしまった場合に支払われる保険です。
上限額は、壊してしまったモノの「時価額」までです。
時価額とは、そのモノと同等のものを今購入するとしたらかかる金額のことです。
具体的な例を挙げて説明しましょう。
例1)交差点を直進していた自分の車と交差点を右折しようとしていた相手の車(トヨタ・プリウス:時価額200万円)が衝突した。
信号はどちらも黃色で、過失割合は自分対相手=40対60だった。
相手の車の修理費用は50万円、また、かけていた5万円のメガネ(時価額5万円)が壊れてしまった。
この場合は、対物賠償保険から、(50+5)×0.4=22万円が相手に支払われます。
例2)走行中の自分の車が前方の赤信号で停車していた相手の車(平成8年式スズキ・ワゴンR:時価額10万円)が追突してしまった。過失割合は自分対相手=10:0だった。
相手の車の修理費用は30万円だった。
こういった事故の場合は、自分の過失が10割であったとしても、対物賠償保険からは修理費用の30万円ではなく、時価額の10万円しか支払われません。
トラブル回避には、対物超過修理費用特約を
上で紹介した例2の事故の相手の気持ちを想像してもらいたいのですが、自分は全く悪くないのにも関わらず、車が古い(時価額が低い)というだけで修理代が全額支払われないということになります。
相手からしてみれば、とても納得の行くものではありませんよね。それでも、法的にはこれで問題がないのです。(裁判になっても賠償額は時価額までです。)
いくら法的にはそれで問題がなくても、相手が気性の荒い人であれば、更なるトラブルに発展することもあるようです。(暴行、殺人事件に発展した例もあるとか。)
こういった時に足りない修理費を補うのが、「対物超過修理費用特約」です。
対物超過修理費用特約とは、時価額を超えた部分の修理費用を支払う特約のことで、ほとんどの保険会社で最大50万円まで支払われます。
上の例2で挙げたケースでいうと、対人賠償保険から10万円、対物超過修理費用特約から20万円で、計30万円、修理費の全額が相手に支払われることになります。
対物超過修理費用特約を使う場合は、大抵相手の車は年式が古く価値の低い車のため、修理費用が時価額を50万円以上超えることはまずありません。
対物超過修理費用特約は、法的には支払う必要がないものの、無用なトラブルから自分の身を守るためにある特約といえます。
対物超過修理費用特約は、月100円程度でつけることができるので、是非つけておくことをお勧めします。
相手への補償は、絶対「無制限」で!
対人賠償保険、対物賠償保険、対物超過修理費用特約について、分かっていただけたでしょうか。
相手への補償は、事故が起きてからでないと支払わなければいけない金額がいくらになるかわからない。という大きな特徴があります。
相手が社長だったら、医師だったら。相手の車がベンツだったら、フェラーリだったら。賠償金額が莫大になることは想像できるでしょう。
対人賠償保険と対物賠償保険は、必ず上限金額を「無制限」に設定しましょう。
同じ契約内容でも保険会社によって保険料は違う
自動車保険は、同じ契約内容でも保険会社によって保険料が違います。
例えば、今回紹介した対人賠償保険、対物賠償保険をどちらも無制限に設定したとしても、保険料が月数千円変わってきたりします。
今は便利なもので、ネットで複数の保険会社から同時に見積もりをもらうことができます。
査定は無料で、どれかの保険会社と契約しなければいけない。ということもないので、一度試してみてください。
少しでも安い保険会社を見つけて、浮いた保険料で対物超過修理費用特約をつけるなどすれば、より補償を充実させることもできます。