このページでは、エンジンオイルの粘度やグレード、交換頻度、料金など、エンジンオイルに関する基礎知識を紹介します。
もくじ
エンジンオイルとは
エンジンオイルとは、エンジン内の潤滑油のことです。
エンジンの内部では、ピストンやシャフトといった部品が一分間に数千回転という高速で回転しています。
エンジンオイルは、高速で動いているパーツを守り、スムーズに動くために必要不可欠なものです。
エンジンオイルの役割は、「潤滑」の他にも、「密封」「洗浄」「防錆」などがあります。
ピストンやシャフトは金属でできているので、万が一エンジンオイルが切れたり、劣化していると、エンジンが破損してしまい、最悪の場合エンジンの交換が必要になります。
エンジンオイルの種類
エンジンオイルの種類は、「製法」「グレード」「粘度」によって分けることができます。
エンジンオイルの製法
エンジンオイルを製法で分けると、「鉱物油」「部分合成油」「化学合成油」の3種類に分けることが出来ます。
・鉱物油
鉱物油とは、原油を蒸留した精製されたエンジンオイルです。
最も昔からある製法のエンジンオイルで、部分合成油、化学合成油と比べると分子の大きさのばらつきが大きく、エンジンの始動性、燃費などが若干劣ります。
・化学合成油
鉱物油よりも高度な精製過程を経て、分子の大きさが一定になっているエンジンオイルです。
化学合成油は、低温時、高温時の安定性や燃費の向上、エンジンの長寿命化に効果を発揮します。
更に、高度な精製過程によって不純物を極限まで取り除き、洗浄力、防錆、冷却効果の上がる添加物が入っているので、より洗浄性が高く、排気ガスも綺麗なものとなります。
・部分合成油
部分合成油は、上で紹介した鉱物油と化学合成油が混ざったもので、価格は鉱物油と化学合成油の間、性能も鉱物油と化学合成油の間というものです。
日常走行であれば、エンジンオイルは鉱物油で十分です。
サーキットで走行する人や、エンジンのフィーリングを気にする人、お金に余裕のある人は化学合成油がおすすめです。
部分合成油は中途半端なので、あまりおすすめできません。
エンジンオイルのグレード
エンジンオイルは、「燃費性能」「耐摩耗性能」「耐酸化性能」「防錆性能」「洗浄性能」の高さによって、グレードが分けられています。
グレードは、「SA」「SB」「SC」のように、Sの後にアルファベットがついており、このアルファベットが後の文字ほどグレードが高いものとなっています。
現在最高グレードのエンジンオイルはSNグレードです。
グレードが低いほど価格が安いのですが、現在主に流通しているしているエンジンオイルのグレードは、「SL」「SM」「SN」で、これらのグレードであればどれを選んでも特に問題はありません。
最近増えてきているクリーンディーゼルエンジンの場合は、クリーンディーゼル専用オイル「DL-1」という規格のエンジンオイルを使用しましょう。
エンジンオイルの粘度
エンジンオイルの粘度は、「0W-20」「10W-30」などと表示されています。
前半の○Wの数字は、低温粘度といい、数字が小さいほど低温でも固まりにくい。という特性をもっています。
つまり、前半の数字が小さいほど、冬場のエンジンの始動性、燃費が良い。ということになります。
後半の数字は、高温粘度といい、こちらも数字が小さいほど、高温時(100℃の時)の粘度が柔らかいということを示しています。
後半の数字は小さいほど良いというわけではなく、エンジンを常に高回転まで回す人(サーキット走行)などの場合、硬めのエンジンオイルを選択しないと液垂れを起こして十分にエンジンを保護できない可能性があります。
日常使用では、取扱説明書に記載されている推奨粘度のエンジンオイルを入れておけば大丈夫です。
最近のエコカーでは、比較的柔らかい0W-20のエンジンオイルが推奨されていることが多いですが、0W-20のエンジンオイルは若干価格が高いので、「5W-30」や「10W-30」のエンジンオイルを入れても特に問題はありません。
自分の車にはどんなオイルを入れれば良いのか
・日常使用の方
車を普段使い(街乗り、高速道路など)にしか使わない方は、鉱物油で、取扱説明書に記載されている粘度、グレードのオイルを入れておけば大丈夫です。
・サーキットなど高回転を多用する方
サーキットなどで高回転を多用する方は、化学合成油で、グレードはSN、粘度は「10W-40」や「15W-50」といった硬めのオイルを入れると良いでしょう。
・寒冷地に住んでいる方
冬場の最低気温が-20℃以下になるような極端な寒冷地に住んでいる方は、前半の数字(低温粘度)の数字が小さいものを選びましょう。「0W」か「5W」がおすすめです。
0Wは車によっては対応していない場合があるので、取扱説明書で確認して下さい。
エンジンオイルの交換頻度
エンジンオイルの交換頻度は、お店によって3,000kmごとに換えましょう。5,000kmごとに換えましょう。などと言われていますが、惑わされることはありません。取扱説明書に記載されている頻度で交換すれば十分です。
各メーカーごとにざっくりとNA車、ターボ車、排気量などによって交換を推奨する走行距離、交換時期が明示されています。
標準 | シビアコンディション | |
---|---|---|
トヨタ | ||
NA車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
ターボ車 | 5,000kmまたは6ヶ月 | 2,500kmまたは3ヶ月 |
日産 | ||
NA車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
ターボ車 | 10,000kmまたは6ヶ月 | 5,000kmまたは6ヶ月 |
GT-R | 3,000kmまたは6ヶ月 | 1,500kmまたは3ヶ月 |
ホンダ | ||
2L以下の車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
2L超の車 | 10,000kmまたは6ヶ月 | 6,000kmまたは6ヶ月 |
マツダ | ||
NA車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
三菱 | ||
NA車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
ターボ車 | 5,000kmまたは6ヶ月 | 2,500kmまたは3ヶ月 |
スバル | ||
レガシィ(4気筒) | 10,000kmまたは6ヶ月 | 5,000kmまたは6ヶ月 |
レガシィ(6気筒) | 5,000kmまたは6ヶ月 | 2,500kmまたは3ヶ月 |
スズキ | ||
NA車 | 15,000kmまたは12ヶ月 | 7,500kmまたは6ヵ月 |
ターボ車 | 5,000kmまたは6ヶ月 | 2,500kmまたは3ヶ月 |
ダイハツ | ||
NA車 | 10,000kmまたは6ヶ月 | 5,000kmまたは3ヶ月 |
ターボ車 | 5,000kmまたは6ヶ月 | 2,500kmまたは3ヶ月 |
ここに記載されている走行距離、もしくは期間のどちらかに到達したら、エンジンオイルを交換しましょう。
一般的にディーラーやカー用品店でおすすめされている交換時期と比べると随分交換スパンが長いということがお分かりいただけるかと思います。
実際のところ、この程度交換していれば十分です。ただし、この交換スパンを超えることは避けましょう。(特にターボ車は、しっかりと守らないと即故障につながります)
また、車の使い方がシビアコンディションに当てはまる場合は、交換スパンが短くなります。
シビアコンディションとは、
・短距離走行が多い(1回5km以内)
・短時間の走行が多い(1回10km以内)
・悪路の走行が多い(砂利道、雪道など)
・走行距離が多い(年間2万キロ以上)
・低速走行が多い(時速30キロ以下)
これらの走行が走行距離の3割を超える場合、シビアコンディションに該当します。
普段、近場への通勤や買い物で車を利用している人は、ほとんどが当てはまるのではないでしょうか。
こういった使い方は、エンジンにかかる負担が大きいので、より高い頻度でエンジンオイルを交換することが求められます。
3,000km、5,000kmごとに交換しましょうと言っている店も、あながちウソを言っているわけではないですが、考えられる最短の交換スパンを提示している。ということですね。
エンジンオイルの交換料金
エンジンオイルの交換料金は、入れるオイルの種類、量によって変わってきます。
主なディーラー、カー用品店のエンジンオイルの交換料金を紹介します。
・とあるトヨタ系ディーラー
ブランド | グレード | ベース | 排気量 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
軽 | ~1500cc | 1501cc~2000cc | 2001cc~3000cc | 3001cc~4000cc | |||
トヨタ純正 省燃費オイル |
SN 5W-20 |
鉱物油 | 1,600円 | 2,200円 | 2,900円 | 2,900円 | 3,700円 |
トヨタ純正 省燃費オイル |
SN 0W-20(16) |
鉱物油 | 1,800円 | 2,400円 | 3,200円 | 3,200円 | 4,000円 |
カストロール TLINE EXTRA |
SN-CF 10W-40 |
部分化学 合成油 |
2,600円 | 3,300円 | 4,200円 | 4,200円 | 5,000円 |
トヨタ純正 キャッスルSM |
SN-CF 5W-30 |
鉱物油 | 1,500円 | 2,200円 | 2,500円 | 2,500円 | 3,000円 |
トヨタ純正 RV SPECIAL |
CF 10W-30 |
鉱物油 | – | 2,200円 | 2,500円 | 2,500円 | 3,000円 |
・ジェームス
ガソリン車用・ベーシックオイル[鉱物油] | 軽自動車 | ~1,500cc | ~2,000cc | 2,001cc~ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
省燃費車用 | 0W-20 SN 5W-20 SN |
会員価格 | 2,800円 | 3,260円 | 3,920円 | 4,660円 |
一般価格 | 3,800円 | 4,260円 | 4,920円 | 5,660円 | ||
一般車用 | 5W-30 SN | 会員価格 | 1,960円 | 2,430円 | 2,980円 | 3,630円 |
一般価格 | 2,960円 | 3,430円 | 3,980円 | 4,630円 | ||
10W-30 SN | 会員価格 | 1,760円 | 2,050円 | 2,540円 | 3,110円 | |
一般価格 | 2,760円 | 3,050円 | 3,540円 | 4,110円 |
ガソリン車用・プレミアムオイル[部分合成油] | 軽自動車 | ~1,500cc | ~2,000cc | 2,001cc~ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
省燃費車用 | 0W-20 SN | 会員価格 | 3,440円 | 3,820円 | 4,660円 | 5,600円 |
一般価格 | 4,440円 | 4,820円 | 5,660円 | 6,660円 | ||
一般車用 | 5W-30 SN | 会員価格 | 3,170円 | 3,630円 | 4,380円 | 5,000円 |
一般価格 | 4,170円 | 4,630円 | 5,380円 | 6,000円 | ||
輸入車向け | 5W-40 SN | 会員価格 | 3,490円 | 3,870円 | 4,820円 | 5,900円 |
一般価格 | 4,490円 | 4,870円 | 5,820円 | 6,900円 |
ガソリン車用・プレミアムオイル[化学合成油] | 軽自動車 | ~1,500cc | ~2,000cc | 2,001cc~ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
省燃費車用 | 0W-20 SN | 会員価格 | 4,660円 | 5,400円 | 6,500円 | 7,800円 |
一般価格 | 5,660円 | 6,400円 | 7,500円 | 8,800円 | ||
一般車用 | 5W-30 SN | 会員価格 | 4,010円 | 4,660円 | 5,800円 | 6,700円 |
一般価格 | 5,010円 | 5,660円 | 6,800円 | 7,700円 |
こうして比べてみると分かるように、エンジンオイルはディーラーで交換したほうが安いことも多いようです。
ディーラーによっては、エンジンオイルのボトルキープ制度を採用しているところもあり、ボトルキープなら更に安く交換することができます。
オイルフィルターも交換を
オイルフィルター(オイルエレメント)は、エンジンオイル内の不純物を取り除くフィルターです。
エンジンオイルが循環するルートの途中に取り付けられており、エンジン内に不純物が入り込むことを防ぐ役割を果たします。
オイルフィルターには、徐々に不純物がたまってくるので、定期的に交換が必要です。
オイルフィルターの交換頻度は、上で紹介したメーカー推奨の交換頻度でエンジンオイルを交換する場合は、毎回エンジンオイルと一緒に交換。
5,000km程度など、早めにエンジンオイルを交換する場合は、2回に1回交換することがおすすめです。
オイルフィルターの交換を怠ると、目詰まりを起こしてエンジンオイルの循環が悪くなったり、エンジンオイル内に不純物が混ざり、エンジンを破損する恐れがあるので、必ず交換しましょう。
エンジンオイルフィルター交換の相場は、2,000円程度です。